適度な深刻さ


pray SIDE:B

sub郎P


実写動画。だいたい同時に投稿された『praySIDE:A』が流れているモニターを映しています。だいたい素人の撮るビデオ映像なんて、カメラもちゃちだし、映画やドキュメンタリー番組みたいに綺麗でかっこいいと思うことなんてまずないんですけれども、この映像はなんだかかっこいいと感じました。暗い部屋の中で、青白い千早の姿がキーボードに反射してゆらめくのがたいへん美しく、少しだけ、千早が実在として画面のこちらがわにいるように錯覚させられ、幻想的です。
SIDE:Aと違って、こちらでは千早の動画の内容そのものはどうでもよくなり、「実在とは……」みたいなお決まりのことを考えます。この動画自体の持つ意味ははっきりしておらず、適度に内容のぼやけた感じがとてもいいと思います。画面に写っているのがただのダンス動画ではなく、これもまた少し影のある物語を含んだ動画であるということを私たちは知っていて、その画面の中の千早の物語が、一見すると散漫な、画面の外を映すこの動画そのものを引き締め、適度に深刻な雰囲気を支えているように感じました。それがとても心地よいです。まさしくSIDE:AあってこそのこのSIDE:Bという感じで、とてもうまい仕掛けだと思います。これ単体だったらそこまで気に入らなかったかもしれません。
だいたいこういういわゆるメタ動画というか、俯瞰的な視点で見るような動画というのは上から目線が鼻につくというか、地獄のミサワみたいな作者の顔が浮かんでくるようで自分はあまり好きじゃないんですが、この動画についてはそういうふうには全然思わなかったですね。どうしてかな。やっぱり作者のsub郎Pの誠実な人柄が画面からどうのこうの……(適当)


とにかく、美しいのでごらんになってみてください。