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エスカトロジイな週末

アイマス 日記

 二次創作が好きなので、ネットで見られるイラストや小説やMAD動画なんかをよく見るけれど、ほかに同人誌を買うこともある。だいたいほとんどネット通販で、時々は同人誌専門店にも行く。やっぱり普通の本屋とは雰囲気が違っていて、このごろはもうだいぶ慣れたとはいえ、あまり落ち着かない。それに、学生服のお客も結構いるようなところなのに、成人向けの作品があまり明確に区分けされていないのは良くないんじゃないかといつも思う。

 同人誌といえばコミックマーケットなことくらいは知っているので、読みたいなーと思う本がたくさんあった時などは、じゃあたまには行って、作者のツラでも拝んでくるかな!と思ってときどき行くことがある。でも、だいたい私は徹夜とか始発とか、そういう気合の入った参加者では全然ないので、昼くらいに到着して、なんだこっちもあっちももう売り切れじゃないか……といってほとんど手ぶらのままトボトボ帰るというようなことを毎回やっている。

 同人作家の知り合いでもいれば、挨拶に行く口実もできてもっと楽しいだろうと思うけれど、私にはそういうのがいないので、あれほど同じような種類の人びとが集まっているイベントなのに、妙に孤独感があってさびしいことだ。ああ、自分はいったい、わざわざあんな満員電車に乗ってまで何をしにきたというのか。かのサークルは売り切れだったし、かのサークルは本の完成が間に合わなかったというし、かのサークルはいくら探しても見つかりゃしない。あとはコスプレを眺めるくらいしかやることがないのであった。

 

 サークル・スペースに座っている人物、あれは作者なんだろうか。売り子といって、作者でない場合もあるようだから、見た目ではよくわからない。後ろにも何人かいるけれど、あいつらは何者なんだろう。「本人」と書かれたタスキでも掛けていてくれればいいのにといつも思う。

「ええと、一部ください」

 実際のところ、目の前においてある本の、作者本人から直接買うというのは、買うほうも緊張して、あまり好きではなかった。目の前に人物に対してなんといっていいのかわからなくなる。中身もご自由に見てください、と声を出している人もあちこちにいて、もし私が同人誌を出してもそう言うだろうと思うけれど、いや~作者の前で試し読みなんてできるものじゃないよ、とても!

 コミケ常連の上級者なら平気でやれるんだろうか。少なくとも私には、作者の目の前で一度手に取った本をふたたび机の上に戻す勇気ははないので、買うか、触れないかの二択しかない。コミケのような場所においては、それはとてももったいないことだと自分でも思うけれど、難しいことだ。デパ地下の、パイナップルの試食をつまむのとはわけが違うのだ。

 

「ええと、はねもさんですか?」

「そうです」

  作者について何かイメージしていたわけではないけれど、へえ~こんな感じの人なんだなという驚きはあった。やっぱり無意識のうちのイメージと違っていたということなのかもしれない。でも、ああ~ああいう感じの話書きそうな感じだな~とも思った。青い爪が印象的だった。

「ええと……」

 作者本人がせっかく手渡ししてくれるのに、何も言わないのってないよなと思って、何か言おうと思ったけれど、特に何も思いつかない。何か言いたくて会いに来たわけではないのだ。

「ええと、動画をいつも拝見しています。ええと、またお作りになったら、かならず見ますんで……」

 

『週末エスカトロジイ』

 

 春香と千早の話なんだけど、プロデューサーも出てくる。私はやっぱりプロデューサーが出てくるとプロデューサーを自分と思いながら見るほうなので、Pの言動というのはいつも気にしてしまう。アニマスPもゲームのPも、だいたい当り障りのないことしか言わないので、自分ならこう言うんだけどな~って、Pがしゃべるのを見ながら、いつも頭では別の会話を想像している。

 それではねもさんの、思い返してみるといつも動画でもそうだったかもなって本を読んでから気がついたんだけど、いつものようにPが気の利かない余計なことを言って、それで女の子が傷ついて心を閉ざしてしまうというのが本作でも繰り返されていて、そのところがとても引っかかった。ああ、どうしていつもこう無神経なことを言わなくちゃいけないんだ俺は……って、読みながら暗鬱な気分になる。

 はるちはがいくら仲良しで微笑ましくても、私にはその後ろで惨めに佇む、しかも自分が惨めであることにさえ気づいていない、春香に失望されもはや興味も惹かれなくなってしまった哀れなPの姿が見えて頭から離れない。それは登場人物が死んだりするよりもよほど悲しく、恐ろしい想像の光景だった。私はとくに春香派というわけでもないつもりなんだけど、春香に嫌われてしまうのがこんなにショッキングなこととは思わなかったよ(純情)。

 登場人物としてのプロデューサーというのに特に思うところのないかたであれば、普通の女の子らしい春香と千早の心情の揺れ動きを丁寧に追う内容に入り込んでいける、とてもおすすめのよい本だが、物語の中のPと自分とを同一視してしまう私のようなものには読んでいて辛いばかりで、次回作がもしあるならどうかPにこんなこと言わせないでくれって思うんだけど、はねもさんのプロデューサー観、あるいは大人の男のイメージというようなものは、こういうものとして一貫しているように思われ……はねもさんはPが嫌いなのかな。それって自分が嫌いということ?いや、単にはねもさんはPと自分とを同一視しないかたなんだろう。あるいはマゾなのかも。

 いずれにしろ、物語としてはハッピーエンドのはずなんだけど個人的にはぜんぜんハッピーじゃなくとても悲しい話でとても悲しい気持ちになった。はねもPすまん。

 


つくった ‐ ニコニコ動画:GINZA

 

 動画も、無神経なPの似たような話っていえばそうなんだけど、不思議とあまり気にならない。シンデレラガールズがヒロインだからか、あるいは音楽があるせいかも。はねもPの動画好きだよ。