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記憶をたどって


Summer Daze

ksmgnさん / Nick Holder


これが私の思い出ではないことははっきりしているのに、どうしても何かを思い出させる。「思い出す」ということを促されるような気がして不思議だ。昔あった何か、小さい時に行った旅行で見たもの、どこかで聞いたような気がする音楽。この曲、たぶん初めて聞く曲なのに、絶対にどこかで聞いたことがあると感じるのも、記憶、思い出というものの印象に重なるようでとても惹き込まれる。
断片的な、という言い方をするけれども、実際のところ思い出というのに断片と呼べるほどはっきりした区切りはなく、頭のなかで、絵の具のグラデーションのようにすべてがぼやけてひとつに混ざり合っている。特に私は昔からぼんやりしているから、いつの記憶もあいまいで、先週のことも昔のこともあまりよく憶えておらず、昨日のことを10年前のように感じ、20年前のことを今日の昼のことのように思い出す。動画で印象的に取り上げられている、ステージの背景モニターの、なんて言うのかな、スクリーンセーバーみたいな光の演出を、画面いっぱいに出し、あるいはダンスに重ねて、視界がボヤーッとなる感じ、これが、あいまいで整然としていない思い出というものをとてもうまく表現していて美しい。
ずっと観ていると、気付かぬうちにまるで私の思い出の中にこの子たちの存在が入り込んで混ざり合うかのようで、そのうち私は春香と海へ行ったのは何年前だったかな、などと真剣に思い出そうとするようになるに違いない。