飲酒行為

 まえから強いほうではなかったけど、このごろますます弱くなった気がする。今は缶ビール一本でもうお腹いっぱいという感じ。

 

 呑むというのがどういうことなのか結局わからずにいる。水やコーヒーを飲むというのとは明らかに別の行為としてお酒を「呑む」という言葉がある。まず字も違う。

 言葉の向こうがわに自分の知らない、見たことも感じたこともない大人の行いが繰り広げられているのがなんとなく感じられるけど、それらには靄がかかっていてはっきりしたものはなにも見えない。大学生にでもなったら、大人になれば、食事ともお茶とも違うものとされるお酒を飲むという行為、呑みという言葉の意味するところが、自然と自分にも身についてくるのだろうと思っていた。いつかは自分も靄の中にいつのまにか加わっているのだろうと思っていたんだけれど、今になってもわからない。わからないまま、酒が飲めなくなりつつある。

 飲みに行こうと人を誘うひと。酒とつまみのためだけに店に入ろうと思うひと。酒と食事の区別をつけられるひと。みな大人だと思う。飲み会の席で、ビールと揚げものをつまみながらいつも思っていたのは「これを夕飯ということにするのは身体に悪いんじゃないかな…」ということばかりだった。酒を楽しむ素質がそもそもないのかもしれない。