ジョージ

 

 エリン・ブロコビッチ - エリン・ブロコビッチ : 作品情報 - 映画.com

 

 ラストは和解した雰囲気ではあったけれど、映画のあと結局はあまりうまくいかないのではないかと予感させるし、現実のエリンはやはりジョージとの間で金銭トラブルが起こって破局したとどこかで読んだのも覚えている。

 でもやはり、自分はジョージというキャラクタが好きだ。気さくで、優しくて、金に無頓着で、子供と遊ぶのが上手で、バイクを持っている。なれるものならああいう人物になりたいと、映画を最初に観たのはもう20年も前だけれど、今も思う。似たのはカネを持っていないというところだけだ。

 

 作中で、ジョージはエリンに実質的に捨てられ、かと思えばベビーシッターとして都合よく呼び戻される。エリンはひどい女だと思うけれど、ジョージはなにも言わない。エリンを、彼女が仕事に情熱を注ぐすがたも含めて愛しているからなのか。ジョージはただ疲れているエリンを寝かせ、子どもを抱き上げて朝食へ連れて行く。女の子の頭に触れる優しい手つき。親子のようにしか見えないその姿を、エリンはソファから見ていただろうか。

 ジョージはやはり最後にはエリンの元を去るだろうと思う。あまりに生きる世界も社会との関わりかたも違っていて、きっと同じには暮らせない。バイクに乗り、子どもたちのことを想いながら乾いた街の向こうへ消えていく後ろ姿が想像できる。そのときも、きっとなにも言わないのだろう。そんなふうに生きられたらと思う。